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維持管理MAINTENANCE

J:COMがIPPSを子会社化し電力事業を強化

2013/9/3

ケーブルテレビ最大手の株式会社ジュピターテレコム(J:COM)は、日本で最初に電力一括受電事業を手がけたアイピー・パワーシステムズ株式会社(IPPS)の全株式を取得して子会社化し、J:COM の放送・通信サービス(ケーブルテレビ、高速インターネット接続)と IPPSの電力サービスをセットにしたマンション向け電力事業を強化すると発表しました。

放送・通信サービスを核としたワンストップを展開

J:COMは、1995年に設立された国内最大手のケーブルテレビ事業・番組供給事業統括運営会社で、ケーブルテレビ事業を札幌・仙台・関東・関西・九州エリアの11社50局を通じて展開。約379万世帯にケーブルテレビや高速インターネット接続、電話等のサービスを提供し、敷設工事済みでいつでも加入できるホームパス世帯は約1403万世帯に及びます(2013年7月末現在)。

同社は、放送・通信サービスを核とした地域住民向けのワンストップ・サービス提供をめざし、2012 年末には重要な生活インフラである電力を高圧一括受電により割安な料金で提供するサービス「J:COM 電力」をスタート。2013年4月には、経済産業省による「スマートマンション導入加速化推進事業費補助金」の対象となるマンション向けサービス提供事業者(MEMSアグリゲータ)に採択されました。

一方、IPPSは2004年に設立され、系統電力会社(東京電力ほか9社)以外からの供給が認められていない「低圧電力」(家庭向け電力)の削減ソリューションである「電力一括購入サービス」を、おもに高圧受電規模の集合住宅を対象に提供。スマートメーターを活用した無線による自動検針システムを手がけるなど、付加価値の高いサービスを展開してきた先進企業で、MEMSアグリゲータにも採択されています。

発表資料によると、J:COM はIPPSを子会社化し電力一括受電サービスを強化することで「ケーブルテレビ・高速インターネット等、既存サービスのお客さま基盤の拡大および収益力向上という相乗効果を見込める」としています。また、今回の株式譲渡に際し、J:COMと IPPS は、IPPS の筆頭株主であった伊藤忠エネクス株式会社と3社間の業務提携契約を締結し、「各社の持つリソースやノウハウを生かし、電力小売事業における既存サービスの強化・拡大、及び本事業に関連する新規事業の創出に向けて、今後も協力関係を継続」すると、今後の電力事業強化を計画しています。

マンション向けサービスで長谷工とも業務提携

IPPSの株式取得発表(2013/8/30)に先立ち、J:COMは長谷工との業務提携も発表しました(2013/8/26)。

長谷工グループで電力事業を手がける株式会社長谷工アネシスとのマンション向けサービスにおける業務提携により、長谷工アネシスが提供する「マンション高圧一括受電サービス」とJ:COMが提供する「J:COMサービス(ケーブルテレビ、高速インターネット接続)」を組み合わせた「長谷工アネシス×J:COMプラン(仮称)」をサービスメニューに追加。8月下旬から順次、新築および既築マンションを中心に提供を開始しています。

導入第1号となった新築分譲マンション「ブランシエラ二条城」(所在地:京都府京都市、総戸数:47戸、RC造8階建て、売主:長谷工コーポレーション)では、長谷工アネシスの高圧一括受電サービスによる電気料金割引(専有部最大5%割引)に加え、J:COMの放送・通信サービスとセットで契約することで電気料金がさらに割引され、専有部最大8%の割引になるといいます。

今後、電力を中心とするマンションの“スマート化”に伴い、サービスを提供する「事業者」本位ではなく、ユーザーの利便性を重視した「居住者」本位の複合的な新サービスの開発・提供が本格化すると期待されます。

(編集部)

関連記事: 管理会社がスマートマンション事業に参入(2013/4/30)




バナースペース

図版 CHART

図1: IPPSソリューションのイメージ図(出典: アイピー・パワーシステムズ「管理組合向けサービス」)

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文書1: J:COM「アイピー・パワーシステムズ株式会社の株式取得(子会社化)について」(出典: 2013年8月30日付けプレスリリース

(クリックして拡大)

文書2: J:COM「マンション向けサービスで長谷工とJ:COMが業務提携 高圧一括受電サービスにCATV・インターネットを組み合わせた新プランを展開」(出典: 2013年8月26日付けプレスリリース

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