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千葉市が「避難行動要支援者名簿条例」を制定

2013/12/24

千葉県千葉市は、市民が避難行動要支援者名簿の情報を共有し災害時に利用するための根拠となる条例を制定しました。12月16日に市議会で可決され、2014年10月以降に個人情報の提供を開始する予定です。市が保有する個人情報を、本人から拒否の意思表示がないかぎり、平常時から関係者が共有できるようにするもので、市の発表によれば県内初の試み。名簿情報の提供先には、町内会等の自治会、自主防災組織のほか、マンション管理組合も含まれ、申し出により名簿情報を提供する際は、千葉市と協定を締結して個人情報の漏えいを防止する対策を講じます。

マンション管理組合にも協定に基づき個人情報を提供

東日本大震災をはじめとする過去の大災害では、犠牲者に高齢者や障害者の占める割合が大きく、災害時に自力で迅速な避難行動をとることが困難な者に対する避難支援等の強化が急務となっています。千葉市では、2008年から「災害時要援護者名簿」の作成に取り組み、2010年からは自治会等に平常時から個人情報を提供できるしくみや、「支えあいカード」の作成などによる地域の支援体制構築を図ってきました。

しかし、個人情報の提供には対象者本人の同意が必要であり、これまでは民生委員等が個別訪問によって同意確認を行う、いわゆる「手挙げ方式」をとっていたため、全市的に情報の提供が進まない状況にありました。そこで、本人から拒否の意思表示がないかぎり、平常時から関係者に情報を提供できる制度に改めるため、条例の制定を進めてきました。

提供する個人情報の対象者は、65歳以上の独居高齢者のうち介護保険の要介護2以下・要支援2以下の認定者のほか、要介護3以上の認定者、障害者、難病患者など、災害時の円滑かつ迅速な避難に支援を必要とする者。また、提供する個人情報は、@氏名、A生年月日、B性別、C住所または居所、D電話番号その他の連絡先、E避難支援等を必要とする事由の6項目です。

条例には、個人情報の提供先として、千葉県警察、千葉市社会福祉協議会、自主防災組織、町内自治会、マンション管理組合が、避難支援等の実施に携わる関係者として例示されています。ただし、自治会や自主防災組織などへの名簿情報の提供は、避難支援等に取り組むための申し出により、千葉市と協定を締結した場合に限られます。目的外利用の制限や守秘義務等を明文化するほか、名簿情報の適正な取り扱いに関するマニュアルを作成し、個人情報の適正な管理の確保に努めます。

なお、千葉市ではこれまでの「災害時要援護者」という呼称を「避難行動要支援者」と改めました。これは、災害対策基本法において、「災害が発生し、又は発生するおそれがいる場合に自ら避難することが困難な者であって、円滑かつ迅速な避難の確保を図るため特に支援を要するもの」を、避難行動要支援者と新たに定義づけたことに対応したものです。千葉市では、呼称の変更は、支援の範囲を避難行動時に限定するなどの変更を目的としたものではないと説明しています。

避難行動要支援者名簿を活用した地域における支援体制構築の進展と、周辺自治体への今後の波及効果が期待されます。

(編集部)

関連記事: 千葉市が要件を備えた管理組合を自治会と認定(2013/5/14)




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図版 CHART

文書: 千葉市「避難行動要支援者名簿に関する条例」の概要(2013年11月8日千葉市・危機管理課公表資料)

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