防火管理のはじめの一歩
2014/1/28
先人の知恵が詰まった故事には、「天災は忘れたころにやってくる」や「備えあれば憂いなし」という言葉があります。
では、マンション管理組合は、もしもの備えとして何をすればいいのでしょうか。
収容人員が50人以上のマンションでは、防火管理者の設置が消防法で定められています。
継続は力なり、繰り返しの消防訓練が必要
防火管理者は、総務省令で定めるところにより、防火管理に係る消防計画を作成し、これに基づいて消火、通報及び避難の訓練を定期的に実施することが責務とされています。
一般的なマンションの場合、訓練の頻度については法令上の定めはありませんが、年に1回程度の訓練は必要と考えられます。飲食店などが入っている複合用途防火対象のマンションの場合は、消防法により年2回以上の実施が義務付けられています。
国土交通省が作成した「マンション管理標準指針」では、マンションの規模を問わず、防火管理者の選任、消防計画の作成及び周知、消防用設備等の点検、年に1回程度の定期的な防災訓練の実施等を行うことを標準的な対応としています。
各個人で自分と家族を守るために備えるほかに、マンションは集合住宅ですのでマンションの居住者全員が力を合わせて助け合ってゆく備えが必要で、「マンション標準管理規約」(以下「規約」という)においても、防災に関する業務は管理組合の業務として位置付けられています(規約32条13号)。
消防訓練は「通報訓練」「消火訓練」「避難訓練」と、これらを一連で実施する「総合訓練」に分けられます。
消防署の職員が立ち会わなくても訓練は実施できますが、訓練をする場合は前もって所轄の消防署へ連絡はしなくてはなりません。「自衛消防訓練通知書」を提出して下さい。
消防訓練の際に実際の火災と間違えて、近隣の住民が119番通報する場合がありますので、消防訓練を実施することをマンション付近の住民にも事前に周知することも大切です。
ストップウォッチ等で火災発生から避難までの時間を計測することで今後の訓練に生かせます。
消防訓練の概要については、別紙のとおりです。
「継続は力なり」。繰り返しの訓練によって万一のときの対応を体で覚えることが必要なのですが、消防訓練は毎年同じような企画ばかりだとマンネリ化してしまい参加者が減ってしまう傾向があります。所轄の消防署と相談して、起震車や煙体験ハウスの体験など、「面白そうなので是非参加したい」と思うような企画を工夫することも大切です。
消防訓練の際に、炊き出しや、焼き芋大会、ビンゴゲームなど開催しているマンション管理組合もあります。
マンションコミュニティの形成にも消防訓練は役立ちますので、実施していないマンションは是非してください。
(マンション管理士/松本 洋)