大京アステージが修繕工事を“ブランド”化
2013/7/9
大京グループのマンション管理事業を担う株式会社大京アステージは、7月2日、管理を受託しているマンションの修繕工事に管理組合・居住者の要望や時代に応じたアイデアを反映させるしくみを、ブランドを冠したサービス「Plusidea(プラシディア)」として提供すると発表しました。「管理会社だからできる修繕工事」のブランド要素を強化することで競合他社との差別化を図り、顧客満足度の向上につながる先導的な取り組みとすることが狙いです。
マンション居住者の“想い”をカタチに
大京アステージが全国で管理するマンションは、2013年3月現在で約41万戸・7300組合。このうち、2020年の段階で築36年以上となる物件は911組合、築48年以上は33組合にのぼり、2回目または3回目となる大規模修繕工事の検討が必要となります。
一方、高齢化社会の到来と情報化の進展により、今後は居住者の組合寄与時間の増加と情報量の増大が見込まれることから、マンション居住者の修繕に関する関心は高まり、同時にニーズは高度化・多様化すると予想されます。
そこで、大京アステージでは、居住環境を向上させる工事メニューや快適性診断書、コンセプトシート、基本プラン、仕様図面、施工計画書などの作成過程を通じて、マンション居住者の“想い”をカタチにするサービスをプラシディアとして提供することとしました。
「日常の管理業務を通じて居住者の暮らしを見守ってきた管理会社ならではの大規模修繕を、お客様と一体となってコーデイネートしていきたい。お客様から常に選んでいただける管理会社をめざします」と、大京アステージ常務取締役の川田邦則氏は語ります。
また、同社取締役の野口信義氏は、「プラシディアは、Plus(プラス)とIdea(アイデア)を合わせた造語。大規模修繕を単なるマンションの修繕工事で終わらせることなく、より良い暮らしのアイデアをプラスすることで、マンションの資産価値を高めることにつなげようという意味を込めました」と説明します。「そもそも、『大規模修繕』という表現もそのサービス内容も、20年間変わっていないことが時代に即していない。女性社員のセッションなども行い、お客様の目線からサービス内容を再検討しました」。
プラシディアのフローでは、まず「みんなの想いを集める」ため、工事メニューのリーフレット、快適性診断書、コンセプトシートのほか、提案資料一式を特製バインダー「Plusidia
Book(プラシディアブック)」に綴ります。プラシディアブックを完成させる過程で、マンションの居住環境を向上させるあらゆる手段や可能性を提供し、具体化された要望だけでなく、表現されていない想いを顕在化することができます。
次に、「コンセプトをみんなでつくりあげる」ため、高齢化対策、災害対応、セキュリティ、環境エネルギー、利便性、コミュニティ、デザイン、ローメンテナンスという、8項目のテーマを設定したコンセプトシートと快適性診断書を活用し、居住者と管理会社が一体となって修繕コンセプトを策定していきます。
さらに、「より良い暮らしやすさをプラス」するため、居住者のニーズを反映した新しい商品やサービスの開発・提供を継続的に実施します。すでに商品化されている事例としては、震災時に鍵をもっている役員が帰宅できずに防災倉庫を開けることができなかった反省から生まれた「地震時自動解錠装置」や、災害発生時だけでなく平常時のイベント等にも活用できるコンパクトソーラー発電・蓄電機「ヒッポS
SH-50」、地震の影響で漏水が止まらないといった二次被害を防ぐための給水管用「緊急遮断弁」、大京グループが新築分譲した住宅性能評価書付き物件の安心を永続させるために屋上や外壁からの漏水に対する永続的な保証を行う「ずっとずっとサポート」などがあります。
プラシディアの試行導入第1号となった東京都内のマンション(築27年・299戸)では、2回目の大規模修繕を機に、高齢化対策・環境エネルギー・セキュリティ・利便性・デザインをテーマとする修繕コンセプトの検討を開始。18か月の検討・施工期間を経て、スロープ新設、廊下照明LED化、エントランスの自動ドア化・オートロック化、エントランスデザインのリニューアルなどを実施し、居住者の高い満足度につながったといいます。
大京アステージの管理受託マンションがプラシディアを導入する場合、管理組合は管理委託業務の一環としてサービスを受けることができます。設計・監理と施工を分離発注する場合でも、同社が監理業務を行うなど一定の条件が整えば、プラシディアのサービスを利用可能。今後、2回目・3回目の大規模修繕を迎える物件を中心に、積極的な提案を進める予定です。
(編集部)