東京電力がスマートメーター設置計画を3年前倒し
2013/11/26
東京電力株式会社は、スマートメーター設置計画を、2014(平成26)年度から2023(平成35)年度までの10年間から3年前倒しし、2020(平成32)年度までに完了すると発表しました。サービスエリア内のスマートメーター全戸展開を全国に先駆けて実施することで新電力への顧客流出を防ぐことが目的とみられ、2016年に予定されている電力の小売り全面自由化をにらんだ競合が今後本格化しそうです。
スマートメーター導入で次世代型新サービスを提供
東京電力では、2012年5月に公表した「総合特別事業計画」に基づき、「スマートメーターの国内外からのオープンな調達・導入拡大」と「スマートメーターを活用した家庭等を対象とする新たなサービスの展開」に向けた取り組みを進めてきました。
従来型のアナログ電力量計を通信機能をもつスマートメーターに交換する事業については、2014年度前半から一部地域で試験的設置を開始し、2014年度後半からは従来計器の検定有効期間満了に伴う交換とあわせてサービスエリア全域で実施。2023年度までの10年間で完了する計画でしたが、この計画を抜本的に見直し、2020年度までの7年間でサービスエリア全域の約2700万台設置をめざすことになりました。
報道発表[注]によれば、スマートメーターを活用したさまざまな機能やサービスは2015年7月から本格的に稼働する計画で、遠隔自動検針やアンペア容量変更などの新機能のほか、より詳細な電力使用量の“見える化”や収集したデータを活用した新サービスの提供が開始される予定です。
2014年度に設置するスマートメーターの調達先は、60A(アンペア)計器の約114万台(おもに家庭向け)、120Aの約19万台(小規模事業所・商店等向け)、30Aの約57万台(小規模集合住宅等向け)のそれぞれについて、順次入札で決定。60A計器については、2013年10月7日に入札説明会を開催したところ外国企業3社を含む7社が参加し、11月7日に入札が行われました。
新電力の参入で選択肢が増加
電力小売り事業は、2000年から高圧受電または特別高圧受電による「自由化部門」(産業用)の規制緩和が段階的に進められ、2005年4月以降は低圧受電の「規制部門」(家庭用)を除く全ての小売りが自由化されました。
制度的には全電力量の60%が自由化されたとはいえ、新規参入者(新電力)の参入はまだ限定的で、既存の一般電気事業者による地域独占が続いているのが現状です。
しかし、東日本大震災の影響で全国の電力10社のうち7社が大幅な電気料金値上げを実施したことから、選択肢を広げる新電力に対するニーズはこれまで以上に増えています。
関西電力株式会社は、100%子会社の株式会社関電エネルギーソリューションを新電力に登録し、2014年4月から首都圏での電力小売り事業に参入することを表明済み。中部電力株式会社も、三菱商事の100%子会社だったダイヤモンドパワー株式会社の80%の株式を取得し、2016年をメドに関東圏での電力小売り事業に参入する予定です。
資源エネルギー庁では、規制部門についても2016年をメドに自由化する方針を発表済みで、電力の小売り全面自由化をにらんだ新電力の参入が今後本格化するとみられています。
(編集部)
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