違法貸しルームで火災、国交省が是正徹底を通知
2014/5/20
国土交通省は、2014年3月末までに違法貸しルームの調査対象が1893件となり、うち853件で建築基準法または関連条例の違反が判明したと発表しました。また、違法貸しルームで火災が相次いで発生していることから、全国の自治体等に対し、調査や是正指導などの対策を一層推進するよう通知しました。
神奈川・埼玉で火災続発、消防法令違反に危機感
国交省の5月9日付け報道資料によると、違法貸しルームに関する通報があった物件のうち特定行政庁による立入調査等の対象となったものは、2014年3月末日現在で1893件あり、うち853件は建築基準法または関連法令の違反が判明しました。
また、2014年1月には神奈川県横浜市で、違反是正指導中の違法貸しルームで火災が発生し、5人が軽傷を負いました。2月と4月には、埼玉県川口市で、違法貸しルームの疑いがある物件として通報されていなかった物件の火災が相次いで発生し、うち1件は木造2階建ての店舗併用住宅(従前用途)が全焼しました。
これらの火災では幸い死者が出る事態には至りませんでしたが、違法貸しルームは防火・避難関係の基準を満たしていないものが多く、同様の火災により重大な被害が今後発生するおそれがあります。
このため、国土交通省住宅局では、各都道府県の建築行政主務部長宛てに5月9日付け文書「違法貸しルーム対策の推進について」を通知し、物件の調査や情報把握を進めるための体制充実を図り、違反が判明した物件の是正指導を徹底することを求めました。
同内容の通知は、総務省消防庁からから各都道府県の消防防災主管部長等宛てにも行われ、厚生労働省から各都道府県等の生活保護制度、住宅支援給付制度担当課宛てにも通知に関する情報提供が行われました。火災発生等に備え消防部局と連携して情報収集を図るとともに、違反の是正にあたり入居者の退去が必要となるケースでは福祉部局等と情報交換が必要となるための措置で、幅広い分野に関係する住生活問題の複雑さを示すといえるでしょう。
(編集部)