NPO法人マンションサポートネット
田村理事長インタビュー(2/2)
2014/3/18
(前ページからの続き)
――管理組合が助けを必要とすることに、管理組合目線で具体的に対応するということですね。建築事務所やマンション管理士などと競合することはありませんか。
私たちは、これまでにないユニークな活動をするために「NPO法人」という形態を選びました。NPO法人は、営利を目的としない、社会的ボランティア団体です。設立の申請をしてから4か月間の審査期間中は、定款や予算案などを公開し、異議がなければ認証されます。こうしたプロセスを経て設立される法人は、ほかにありません。
一般社団法人にしようと思えば、これはある意味で簡単です。株式会社などの会社組織は、中はピラミッド階層で、これも私たちのめざす横ならびの組織とは違う。私たちのNPOが求めているは、社員ではなく、仲間なのです。
管理組合は民主主義の学校
――横ならびの組織とは、具体的にどういうことでしょうか。
管理組合には上下関係がありませんよね。これと同じことです。管理組合は、いわば“民主主義の学校”です。相互に矛盾するようなことがらを、どのように調整するかが試されている。これまでの蓄積や知恵をもとに、どう工夫するか、産婆さん的な役割が期待されているともいえます。
残念ながら、日本語には民主主義を阻害する一面があります。敬語に代表されるように、年齢差に応じた言葉のうえでの非対称性があって、横ならびではないのです。男女差にも、同じことがいえます。
たとえば、英語の二人称は「you」だけです。年齢の差も、男女の別も関係ない。フランス語では、礼儀正しい関係は「vous」、親しい関係になると「tu」を使い分けますが、お互いに同じ人称名詞を使って呼び合うということで対称性が確保できますね。
もうひとつ大事なことは、当事者意識をもつこと。裏を返せば、他人の意見を聞くということです。赤ちゃんをあやすようにあやされる、一緒になって泣かないということで、“相互ケア”ともいえるでしょう。管理組合のような組織では、女性・子ども・高齢者など声の小さいひとでも、安心してしゃべる場を作ることが大事ですが、これも工夫しだいで解決できる問題です。
こうした横ならびの組織では、何よりもプロセスが大事です。だから、決めるのに時間がかかる。しかし、これも工夫のひとつと考えれば理解しやすいのではないでしょうか。ピラミッド型の組織では、こうはいきません。
管理組合向け情報発信にラジオを活用
――複雑な話をわかりやすく、おもしろくということですね。マンションサポートネットは、コミュニティFM「京都三条ラジオカフェ」でマンションをテーマとする番組「マンション・ア・ラ・カルト」を放送していますが、これも工夫のひとつでしょうか。
ラジオは、インターネットを活用したライブ放送やアーカイブ配信などが可能になり、立体的なメディアになってきました。これを、マンション管理組合のために役立つ情報の発信に利用できると考えたのです。
はじめは、京都市住宅供給公社の総合窓口である「京(みやこ)安心すまいセンター」が募集しているタイアップ事業に応募したのですが、前例がないという理由で落選してしまいました。
それならば「前例を作ろう」ということで、京都三条ラジオカフェで独自番組を制作し、2013年10月から放送を始めました。当初は12月までの予定だったのですが、最終的に3月まで延長することになり、ほぼ2週に1回、計13回分の番組をオンエアする予定です。
「マンション・ア・ラ・カルト」の放送開始は、共同通信などでニュースが配信されました。こうした番組が各地のミニFM局に波及するといいですね。もし他局からオファーがあれば、どこへでもでかけて行くつもりです。じつは、そのために、ラジオでは標準語で話しているのですけどね(笑)。
(2013年11月30日、取材・構成/編集部)
追記:
「京都三条ラジオカフェ」の「マンション・ア・ラ・カルト」は、2014年4月から1年間延長することになりました。毎月第1・第3火曜日の午後2時からです。「ラジオカフェ」と「マンション」で検索してみてください。インターネットで聴くことができます。また、新しく「ならどっとFM」でも4月から「マンションに住む奈良」を毎月第2月曜の午前10時半から放送します。(2014/3/15、田村氏談)