東北電力も値上げ、広がる電気料金の地域間格差
2013/2/26
東北電力株式会社が、2013年7月1日から、規制部門(家庭用)の電気料金を平均11.41%値上げすることを経済産業大臣に申請しました。あわせて自由化部門(産業用)も平均17.74%値上げする計画です。東日本大震災で大きな被害を受け、まだ復興途上にある東北の被災地も値上げ対象となるため、値上げに対する懸念の声があがっています。
東北電力は、値上げの理由として「東日本大震災や新潟・福島豪雨による甚大な設備被害や、原子力発電の停止による火力燃料費の大幅な増加など」を挙げ、さらなる経営効率化の徹底を前提として値上げをお願いしたいと説明しています。
海輪誠・取締役社長は記者会見で、電気の安定供給と経営効率化にはこれまでも継続的に取り組んできたことを強調。第二次石油危機に伴う1980年(昭和55年)の値上げ改定以降は、「これまで9回の本格改定を実施し、合計で約3割の電気料金の低減を行ってまいりました」と説明しました。
また、東日本大震災以降は、「電力の安定供給を通じて被災地の復興を支えるべく、一刻でも早い電力供給設備の復旧に全力を挙げてまいりました」と説明し、値上げに対する理解を求めました。
2月20日には、四国電力株式会社が、東北電力と同じく2013年7月1日から、規制部門(家庭用)の電気料金を平均10.94%値上げすることを経済産業大臣に申請し、自由化部門(産業用)は平均17.50%値上げする計画であることを公表しました。
これまでに、原発停止にともなう火力発電用の燃料費増加を主因とする赤字決算となった電力8社のうち、東北・東京・関西・四国・九州の5社が値上げを実施または申請しました。残る北海道・中部・北陸の3社は、当面値上げの予定なしとしています。また、原発をもたない沖縄と、原発依存度が比較的低い中国の2社は値上げの検討を行なっていません。
電気事業への民間事業者の参入促進が十分に行なわれないまま、今後は電気料金の地域間格差が広がることが確実となりました。また、自由化部門値上げの影響を受けるマンション共用部分の負担増と、専有部分電気料金の値上げによる居住者の二重の負担増について言及する電力会社は1社もなく、マンション住民は値上げの既成事実化を傍観するよりほかに手がないのが現状といえそうです。
(編集部)