MALCAが初のMLCPフォーラムを開催(1/2)
2013/4/9
2013年3月31日(日)午後1時から、東京・千代田区の日比谷図書文化館で「MLCPフォーラムVol.1」が開催されました。
主催は一般社団法人マンションライフ継続支援協会(MALCA)、後援は国土交通省、内閣府(防災担当)、復興庁。会場となった大ホールは、200人を超える参加者で満席となりました。
フォーラムの最後に、MLCP(Mansion Life Continuity Plan マンション生活継続計画)検討会がまとめた提言を発表し、参加者からは大きな拍手が送られました。
民・学・公・産の有志によるMLCP検討会
フォーラムでは、司会の渡邊紳太郎氏(アサツー ディ・ケイ)による開会挨拶のあと、MLCP検討会座長の三橋博巳氏(日本不動産学会会長)から主催者挨拶がありました。
続いて、来賓の中島正弘氏(復興庁次官)、山根弘美(高層住宅管理業協会理事長)[注1]、親泊哲氏(日本マンション管理士会連合会会長)の各氏からそれぞれゲストスピーチがあり、MLCPに期待する祝辞が述べられました。
注1: 高層住宅管理業協会は、2013年4月1日から、名称を「マンション管理業協会」に変更しました。
次に、MLCP検討会事務局長の飯田太郎氏から、これまでの1年以上にわたる活動に関する経過報告が行われ、民・学・公・産から個人の立場で参加した、発起メンバーをはじめとする関係者の手弁当による協力に謝意が述べられました。
飯田氏は、「災害時にマンション住民はある意味で“優先的に”放っておかれることを忘れてはいけない」と、MLCP普及促進の重要性を指摘。多方面にわたる関係者の結集と協力を呼びかけました。
講演@: 都市防災に欠かせないマンションの災害時自立
フォーラムの第1部では、まず内閣府の渋谷和久氏(大臣官房審議官・国土強靭化推進担当審議官兼務)が「都市防災に欠かせないマンションの災害時自立」と題した講演を行いました。
渋谷氏は、現在国が取り組みを進めている老朽化インフラ対策など事前防災のための「強靭化(レジリエンス)」という考え方を紹介し、「マンションにおけるレジリエンスは、建物を強固にするということではなく、例えば竹のようにしなやかな抵抗力と復活力をもたせることだ」と解説しました。
また、マンションの課題解決は、基本的には「まちづくり」と同じだとし、マンションや地域における防災への取り組みの成功事例等を紹介。非常時の助け合いは平時からのつながりがなければできないとして、マンション防災を狭義の「管理」ではなく「コミュニティ」という観点から行うことを推奨しました。。
講演A: エネルギーとマンションコミュニティ
次に、刑部真弘氏(東京海洋大学教授)が「エネルギーとマンションコミュニティ」と題した講演を行いました。
刑部氏は、東日本大震災後に注目されている、再生可能エネルギーの導入と省エネ(節電)に関する最先端の取り組み事例を紹介し、スマートメーターやエネルギーマネジメントシステム(EMS)を活用した「スマート構想」について解説しました。
また、「節電を呼びかけるだけでなく、使用電力を“見える化”して情報公開すれば、10%程度の節電は達成できる。日本は、それができる国民性をもっている」と、電力消費量グラフを交えて実例を紹介。「大事なことは、個人だけではなく、もっと広く全体の使用電力を計測して節電や電力融通に生かすこと。マンション単位やコミュニティ単位での取り組みが必要」と、今後のさまざまな可能性と方向性を示しました。
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